045041 ランダム
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サクラチル*..。*・.*

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嫉妬

時代は明治。ここは道場の中である。


「もうっ!何が泥よ!」



薫が顔を赤くして怒鳴っている。様子をみてると怒っているらしい。



「こりゃー嬢ちゃん。味噌汁とは言わないぜ。やっぱ泥だよ。泥。」


そう言っているのは佐之助である。



「なんですってぇ!タダでご飯食べてるんだから、文句言わないの!もう!はたくわよ!」




「おー怖えー。しょうがねぇなぁ。」



そう言って黙々と食べる佐之助。どうやら今回の喧嘩は薫の勝ちらしい。理由はタダ飯を食べさせてもらっているから、何も言い返せなくなったのだろう。




「剣心からも何か佐之助に言ってよ!」






「そうでござるよ佐之助。薫殿が一生懸命作っているのだから文句を言うのはよくないでござるよ。それに薫殿の作るご飯は食べるごとになかなかおもしろい味をだすでござ・・・・」




瞬時に薫が剣心の頭をペシッと叩いた。



「もう!最後の言葉は余計よ!剣心!」



「す、すまないでござる・・・・」



苦笑いの剣心。まぁこんなことはいつもの事である。



そう。薫と佐之助の喧嘩もいつものこと。





でも・・・





-------きっと薫殿は気付いていないでござろうな・・・・。拙者が嫉妬していることを-----------
















----------翌日------------




「もう!何が砂よ!」




また薫が怒っている。




「こりゃーないぜ嬢ちゃん。これはごはんじゃなくて砂だぜ砂。やっぱりちっと料理の勉強したほうがいいぜ。恵に教えてもらいな。」



またこういうのは佐之助である。



「もう!もう!・・・・剣心なんとか言ってよ!」






さすがにこう毎日自分の作ったご飯をけなされると薫も落ち込む。とりあえず剣心に助けを求めた。






「・・・・・ごちそうさま。拙者は洗濯物をほしにいくでござるよ」




「剣心?」






いつもの剣心と違う。いつもなら絶対なんか言ってくれるのに。

そう思って、薫は佐之助の喧嘩もほっといて、剣心の後を追った。








「剣心っ!」





剣心が歩いているところを引き止めた。








「どうしたの?今日元気ないよ?」







「なんでもないでござるよ。」





「なんでもなくない!剣心はすぐ顔に出るんだからすぐわかるよ。」





ちょっと微笑んで薫は言った。





すこしたってから、






「じゃあ、今の拙者の気持ちがわかるでござるか?」






「そう言われると・・・・わかんないや。でも、いつもと違うのはわかる。なんかあったなら言って!」





そう心配そうに薫は言う。しばらくして・・・









「そうでござるな・・・・・簡単に言えば嫉妬かな。」



そうちょっと笑って剣心は言った。




「え?」




薫は最初剣心の言ってる意味がわからなかった。






「拙者は・・・・佐之助と薫殿が喧嘩してるのをみてすこし嫉妬してたでござるよ。仲がよさそうで少し羨ましかったのでござるのかなぁ・・・」




苦笑いして剣心は言った。



剣心はいつも薫と佐之助が喧嘩しているのをみて、少しだけ、少しだけ嫉妬していた。喧嘩しているけど、どこか楽しそうで。仲がよくて。








----こんなことは絶対に言えぬけど・・・・薫殿には拙者だけを見てもらいたいでござるな・・・・・。----------








しばらくしてから、




「って言うことは・・・・もしかして私が佐之助と話ているのに嫉妬していたの?」









「・・・・恥ずかしいけれど、そういうことになるでござるな・・・・。こんなわがままを口にだしてしまってすまない。今日はなんか拙者おかしいでござるな。拙者が言ったことは忘れていいでござるよ」





ニコッと笑って剣心はそう言った。






「なんか・・・・嬉しいよ!」




突然大きな声で、薫が言った。





「え?」



剣心はビックリしていた。








「だぁかぁらぁ!嬉しいよ!私も剣心が恵さんと話してたら嫉妬しちゃおうかなぁ?」





すこし冗談っぽくクスッと笑いながら薫が言った。







剣心はあいからわず驚いて言葉を失っている。    その時!








「ガタッ!」







「え?・・・・・・・もしかして・・・・・!!!!!」







そのときである。ふすまから佐之助と弥彦が飛び出てきた。









「畜生!押すなよ弥彦!バレちまったじゃねーか!」






「なんだよ!おめーが見やすいからってそこを全然どいてくれないからじゃねぇか!!!」











佐之助と弥彦だ・・・・・。











「・・・・・・もしかしてあんたたち・・・・・・・ここで私と剣心との会話をずっと聞いていたの・・・・?」









「あら・・・・・バレちまったか・・・・。嬢ちゃん悪く思うなよ」





みるみるうちに薫の顔が赤くなっていく。












「あんた達ってやつはぁーーーーーーーーーーーー!!!!!!!シメてやる!!!!!!シメてやる!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」






「おろーーーーーーーーーーーー!!!!!薫殿、や、やめるでござる。」






「うるさいわね!こら!佐之助!弥彦!待ちなさいっ!!!!」

















「やれやれ。また喧嘩でござるか」




ため息をついて剣心が言った。






------拙者の嫉妬はしばらくなくなりそうにないでござるなぁ。-------











そしてまた明日がやってくる。また喧嘩をして、ひそかに嫉妬して。









「拙者も・・・・いろいろ頑張らないといけないようでござるな・・・・」




ちょっと笑いながら剣心が独り言のように言った。







「剣心っ!なにボーッとしてるのよ!佐之助捕まえて!あっ!左よ!左に行った!」




いきなり大声で薫が叫ぶ。





「はいはい。わかったでござるよ。」





ちょっと困ったように剣心は言って、走り出した。






-------でもいつかあなたに伝えたい。拙者だけを見てほしいと・・・-----------





















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